私の好きな人

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律のその黒い笑顔に、言葉に… 夜子が築き上げていた、律の爽やかで誰にでも優しい虫も殺さぬ王子様像がガラガラと音を立てて崩れて行く。 ーーまさか… まさか… …王子様がこんな腹黒だったなんて…っ!! 確かに、勝手に築き上げた理想像ではあった。 それにしても律は完璧に王子様を演じきっている。 すでにこれは、詐欺。 裏切られた気持ちでいっぱいになる。 ーー…好き、だったのに… … 夜子はぐっと拳を握りしめ そして、小さくつぶやいた。 「…わ 渡さなぃ…」 「え?」 「写真は渡さない!これは私の…作品だから!」 一瞬、律が驚いた表情を見せる。 そして再び、あいかわらずの甘いマスクでにこっとイタズラに笑い、夜子の瞳を覗いた。 「へぇ、そう。でも…後で後悔しないでね?」 「…え?」 「俺…困らせちゃうよ?夜子のこと♪」 「ー〜〜っっっ!!??」 ーーな、なななな 名前っ!!??
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