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「優勝、惜しかったね?奨励賞も十分すげぇけど」
クリスマスの時と同じ。
あの時の広場、あの時のベンチに並んで座る。
律がぽつりと言った。
「うん…へへっ なんか、ごめんね?勝手に被写体にしておいて優勝もできなくて…」
「マジな。帰ったらお仕置き」
「え"っ!?」
律がニヤッと黒い笑顔を見せる。
そして夜子はいつもの如く、まんまと反応してしまうのだ。
「なんてな~♪顔赤いけど?なに想像してんの~?」
「な!何もしてないっ!!」
「あはは うそだよ。これでフランス留学はしばらく
遠のいたんでしょ?俺は、うれしいけど?…夜子がそばにいるの」
「・・・」
律の爽やかな笑顔…
ーーう~、出たぁ…必殺、飴と鞭…
赤い顔のまま、隣で楽しそうに微笑む律を見上げる。
ぱちっと視線がぶつかると、律の笑顔がやや、真顔となった。
「…そんな顔してたら、夜子が想像してること…しちゃうよ?」
「… …いいよ。…しても」
律が少し困った様に笑う。
そして、ゆっくりと… …キスをした。
2人の愛の存在を
確かめるように… …
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