王子の仮面

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『律さんなら必ず優勝できると思ってたわ!おめでとう!』 『周防先生も立派な息子さんで鼻が高いでしょう?』 『律さんはピアノだけじゃなくて、全国模試でも1番を取る実力らしいですわよ?』 『二足のわらじかぁ…周防病院のさらなる繁栄も時間の問題ですなぁ!』 周りの大人は律を神童と呼んだ。 賞を取ることで喜んでくれた。 『いえいえ。周防病院を継ぐのは兄の凌ですよ。律には任せられない』 … …父を除いては… … 格式高いピアノの国際コンクールで優勝した時も、そうだった。 『この程度で浮かれていては、たかがしれているな。上には上がいる…』 父は、いつもそうだった。 律は父親に褒められたという記憶がない。 何のために一生懸命がんばるのか… いくらがんばって1番を取ったところで、父親には認めてもらえない。 こんなことならいっそのこと…
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