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「今日も盛大だねぇ…律くん。あれ3年でしょ?」
「知らない」
「スカート短〜…バカっぽい」
「・・・・」
律は1年10組で隣のクラス。
学年のトップが集まる英才クラスだ。
中学の時から成績は常に2~3位をキープしており、そのスタイルは揺るがない。
夜子の席は1番前の1番端である。
ちょうど教室の出入り口となる所。
隣のクラスということもあり、9組と10組との間で律がお姉様たちに囲まれていると、全ての会話が筒抜けになるのだ。
「ねぇりっくーん。今度遊びに行こぅよ~?」
「いいよ。花絵さんのために予定空けとくね」
「えー!じゃぁあたしも~!」
「花絵ずるーい!」
「・・・クマちゃん!お外行こう!」
「あら、いいの?せっかく律くん眺められるのに?」
「っいーの!」
ーーだってあの笑顔は…私に向けられることはない。
…律くんは、私の事なんて知らない… …
夜子が律の存在を知ったのだって高校に入学してから。
入学してすでに律は有名人だった。
中学の時からの持ち上がり生が半数以上を占めているため、律を待ちわびていた女の子も沢山いた。
夜子はエスカレーターに乗った入学ではなかったため、律の存在を知らなかったのだ。
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