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… …~♪~ ~…・・ ・
ふっと突然ピアノのメロディが止む。
ーー… …?
「そろそろおしまいよ?律くん」
「もぅ?」
「だって…私もぅ 待てない…」
そう言って一人の女性がピアノを弾いていた律の手を取り、自分の頬に当てる。
その手に擦り寄るように、女は妖艶に微笑んだ。
「…先生は、綺麗だね」
にこっといつもの王子様スマイルで、律は女からのキスを当然のように
受け入れた。
夜子はレンズを覗いたままの格好で、その場にピシッと固まってしまう。
ダラダラと冷や汗が身体中を伝うのが分かる。
ーーヤヤヤヤバイ…!!絶対、見てはいけないものを見てしまってるわっ!!
今『先生』って言ったよね…!?
「…は ん… …りつ…」
「ふっ エロいね…可愛いよ」
「…ばか…」
絡み合うような深いキス。
先ほどまで美しくも悲しい月光の旋律が響いていたその部屋に、女の甘い吐息と、何度も絡み合うリップ音が響く。
女がそっと律のネクタイに手をかけ、しゅるっと音を立てて緩めた。
膝に座る女の腰に手を回し、抵抗することなく優雅に微笑む律からは余裕とただならぬ色気を感じる。
待ったなく始まってしまった律と女教師の禁断の痴情を目の当たりにし、夜子はカメラを構えたままの状態でゆっくりと後ろへ一歩…下がる。
と…
パリン…ッ!
小さな小枝が割れるような、そんな音が夜子の足元から響く。
無情にも、その音はしんっと静まり返った校舎に鋭く響いしてしまった。
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