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「きゃっ!誰っ!?」
ーーヤ、ヤバッ !!
とっさに響いた女の声。
夜子に緊張が走る。
ふらつく足にぐっと力を込めた瞬間
カシャン … …
勢い余って、手にしていたカメラのシャッターを
きってしまった。
ーーわわわわわぁ!!ヤバヤバヤバ逃げなきゃ!!
慌ててカメラを握りしめて走り出す。
「先生は待ってて♪」
にこっと可愛らしい笑顔を残し、律が後を追った。
ーーぎゃーーーーーーっ!!!
に~〜〜
げ~〜〜
ろ~~~ぉぉぉ!!!!
ひたすらに走り切り、教室棟の入り口にたどり着く。
こちらはまだ人が残っており、あちこちに明かりが灯っているためオバケの気配も感じない。
「ゼーゼーゼー…」
ーーここまでくれば、だいじょう…
「捕まえた…」
「っっぎゃーーーーーーっ!!」
「うわ!おいっ!」
ふいに腕を掴まれ、心臓が飛び出す。くらい驚き、大声をあげてしまう。
とっさに大きな手で口を塞がれた。
ーーい、息が…し、心臓が…!!
鬼ダッシュ後のこのドッキリに夜子は目を白黒させる。
「ぷっ あはははは…!!」
そんな夜子を見て、突然腕を掴んだ張本人、律が爆笑した。
「っかし~…つか、足速ぇよ」
爽やかに笑う律も、わずかに息を切らしている。
ーーわぁ!王子様が…笑ってる… …
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