私の好きな人

9/12
前へ
/127ページ
次へ
「彼女、ようやく教員試験に合格して、今年から念願の先生になったんだって」 「・・・?」 彼女というのはさっきの女教師のことだろう。 なぜ自分にそんな話をするのか?と、きょとんと視線を向けた。 「俺みたいのに騙されて、クビとかなったら…可哀想でしょ?」  にこっと、いつもの王子様スマイルで言った。 ーーだま される…? 「…つ 付き合ってるんじゃないの…?」 失恋したついでだ!と、思い切って真相を聞いてみる。 律の女教師に対する興味のなさそうな態度が、夜子にはひっかかった。 「まさか。あっちは教師だよ?タブーでしょ?」 そんな爽やかな笑顔で言われても全く「なるほど」と思えない。 「つ、付き合ってもないのに…キスとか、しちゃうんですか?」 ーーあんな…恋人同士みたいな…熱いキス… … ふいに律がにやっと不敵な笑みを浮かべる。 整った甘いマスクではあるが、その笑顔はいつもの爽やか王子様スマイルではなく… … 黒い、笑顔… … そして楽しい事が始まる前のような無邪気な声で、言った。 「うん♪…そうだね。いんじゃない?利害関係は一致してるわけだし…お互い快い思いしてんだから♪」
/127ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加