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「彼女、ようやく教員試験に合格して、今年から念願の先生になったんだって」
「・・・?」
彼女というのはさっきの女教師のことだろう。
なぜ自分にそんな話をするのか?と、きょとんと視線を向けた。
「俺みたいのに騙されて、クビとかなったら…可哀想でしょ?」
にこっと、いつもの王子様スマイルで言った。
ーーだま される…?
「…つ 付き合ってるんじゃないの…?」
失恋したついでだ!と、思い切って真相を聞いてみる。
律の女教師に対する興味のなさそうな態度が、夜子にはひっかかった。
「まさか。あっちは教師だよ?タブーでしょ?」
そんな爽やかな笑顔で言われても全く「なるほど」と思えない。
「つ、付き合ってもないのに…キスとか、しちゃうんですか?」
ーーあんな…恋人同士みたいな…熱いキス… …
ふいに律がにやっと不敵な笑みを浮かべる。
整った甘いマスクではあるが、その笑顔はいつもの爽やか王子様スマイルではなく… …
黒い、笑顔… …
そして楽しい事が始まる前のような無邪気な声で、言った。
「うん♪…そうだね。いんじゃない?利害関係は一致してるわけだし…お互い快い思いしてんだから♪」
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