プロローグ

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両開きの扉が締まり、室内に静寂が充ちる。 そこへ、 「申し開きがあるなら今の内に聞こうか」 冷え冷えとした低声があがった。 先に室内に入っていた金髪の少女が細い肩をビクリと震わせ、なんとも気まずそうな表情を浮かべながら銀髪の男ー先程フィンと呼ばれていた男ーを振り向く。 「いやあ…このお屋敷広いね…」 あはは…と零される笑い声が虚しく響く。 男が腕を組み、冷たい目で少女を見据える。 その目が言っている。 それで? 「迷子になろうとしてなったわけじゃないんだよ。ワザとじゃないよ」 無言で更に促される。焦燥をありありと浮かべ少女が何とか弁明を続けた。 「そ、それに、迷ったら無闇に動くよりその場から動かない方が良いっていうし、でもじっとしてたら暇でさぁ」 「なるほど」 よかった。尋問から解放されたらしい。少女がほっと胸を撫で下ろすや否や、 「いつの間にか居なくなったご令嬢を無駄に広い屋敷中探し回って」 「…う」 「やっとのこと見付けたと思えば、当の本人は呑気に噴水とお戯れ遊ばして」 「…うっ」 「挙げ句、軟派男に声を掛けられているところを助け出したわけだが」 「…うぅっ!」 「俺に対して何か言うことは?」 「すみませんでした!」 少女が直角で腰を折る。見事な謝罪の姿勢であった。
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