言葉を使わない少女

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「うん。これも俺の予想なんだけど、コトハさんはもしかしたら───」 エレインさんが何かを言いかけた時、扉が勢いよく開かれた。そこにいるのは知らない男性。見た目的にそこそこ若そうな感じだ。40歳前後だろうか。 「そ、総司令官!?」 「俺が呼んでおいた。俺の予想の答え合わせのためにね」 答え合わせ?何を言っているの・・・? 「こ、コトハ・・・?」 「っ!?」 私の名前を知ってる・・・?なんで? 「あれ?リグールじゃん!」 今まで静かにしていたハロが男性に声をかけた。ハロの知り合いなのかな? 「ハロ・・・と言うことは、やっぱりコトハなんだな!?」 「あの人は、この管理塔の総司令官、リグール・ペイシェルさんだよ。そして、多分キミの本当の父親だ」 「っ!!」 驚きになにも言えない。私の本当の父親?なにを言っているの?私のお父さんはちゃんといる。ハロは、何か知っているのだろうか。ハロは、物心ついた時からずっと一緒にいる。私はハロを見た。 「コトハが混乱してるじゃんか。ちゃんと順序よく話さないから」 「あ、ごめんね。混乱させるつもりはなかったんだ。ただ、俺は事実確認したかっただけなんだよ」 わからないわからないわからない。 わからない。 「私から話そう。私は当事者だからな。みんな掛けてくれ」 みんな座ったことを確認してから、総司令官さんは話し始めた。 「コトハは、私とユリアナとの間に生まれた娘だよ。これは、私がまだ総司令官になる前の話だ。ユリアナは医術部部長だった。彼女に治せないものはないと言われるほどの凄腕だ」 鼓動がうるさいくらい早まっていた。聞きたくないけど聞きたい。何かが壊れて変わってしまいそうでとても怖い。 「私が、次期総司令官に任命され、研修期間中にユリアナの妊娠を知らされた。もちろん私たちは大喜び。まだ見ぬ我が子に愛を注いだ。だけど、医師からは堕ろすように勧められていた。ユリアナは類い稀なる医療魔法のせいか、身体があまり強くなかったんだ。母子共に危険にさらされる可能性があると言われた。だけど、ユリアナはお腹の子には生きる資格があるって言って産むことを決めたんだ。それから出産までは細心の注意を払っていた」 総司令官さんはここまで話すと一旦言葉を止めた。少しだけ言いにくそうな表情をしている。それでも意を決したのか、少し深呼吸した後に続きを話してくれた。
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