言葉を使わない少女

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机の見えるところにメモを貼り付けて、宿題に取り掛かる。宿題の量は多いとは言っても、問題自体は難しくないからすぐに終わるだろう。ハロも待ってくれてるから早く終わらせなきゃ。 宿題を始めて2時間くらい経っただろうか。少し伸びをして、ハロを探した。少し静かなのでどうしてるのか気になったのだ。少し視線を落としてベッドを見るといた。これから読むのであろう本の上に寝ていた。 待ち疲れたのかな。でも、ちゃんと待ってくれたから、もうちょっとで終わるよ。そのあと、いっぱい本読んであげるね。 可愛い寝息を立てながら眠るその姿は私の癒しだ。嫌なことなど全部忘れられる。さて、あと少しだ。もう一度集中するために机に向かった。 そして30分。ようやく最後の問題を解き切った。本当に多かった。宿題と明日必要なものを鞄に仕舞う。 「ただいまー」 下の階から、お母さんの声が聞こえてきた。ギシギシと階段を登る音も聞こえて来る。 「コトハ、ただいま」 私は笑顔で出迎え、人差し指を口の前に立てた。ハロが寝ているからだ。 「あら、ハロちゃん寝てたのね。ごめんなさい」 ふるふると首を横に振る。お母さんは、帰って来ると私の部屋に真っ先にやってきてくれる。何もないかちゃんと見てくれているのだろう。お母さんは過保護だから。 「今日はハロちゃんの好きなハンバーグだからね」 スマホのメモアプリを起動して、文字を打ち込んだ。 『ハロが喜ぶよ』 「ちゃんと、少し冷ましておくからね」 私は頷く。ハロは熱いものが食べられない。まぁ所謂猫舌なのである。竜だけど・・・。ちょっと意外な感じだ。会ったことはないけども、竜といえば火を吹くイメージだから。絵本とかにも、たまに竜が敵として出てきて、街を燃やしたりするから、竜といえば火というイメージがある。 まぁ、ハロは火を吹けないらしいけど。かなり昔に聞いたのだ。絵本を読んで、竜が火を吹くのを見た時、ハロに聞いてみた。 『ハロも火吹けるの??』 『ボクは火属性じゃないから吹けないけど』 的な感じの会話だった。懐かしいな。一人でクスリと笑った。 「う〜ん・・・」 どうやら、ハロが起きたようだ。 「ハロ、おまたせ。宿題終わったよ」 「あ、ボク、ねてた・・・」 まだ微妙に寝ぼけているらしいハロは、よろよろと起きあがろうとしていた。 「待っててくれてありがとね」 ハロは大きな欠伸をしながら伸びる。本当に可愛いと思える。 「それ読むの?」 「うん!」 「わかった」 私は椅子から降りてベッドに移動した。ハロは私の肩に乗る。
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