言葉を使わない少女

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どこ行こうかと言いかけたとき、夢に出てきた映像が再び流れた。私は咄嗟に立ち上がる。黒い何かがやってくる。きっと危険なもの。 「コトハ・・・?」 その時、公園の中央近くで黒い穴のようなものが突如出現した。一体何事だろうと、公園にいた人たちはそれに注目する。私も初めて見るけど、まさか、あれって・・・! 「ホール・・・!?」 安全区域に出ることはほぼないもの。だけどたまにある。まさかこんなところであるとは思わなかった。ただの都市伝説のようなものだと思ってた。でも、もしあれがホールならば、あそこから出てくるものは・・・! 「エラントが出てくる!コトハ、ここから離れなきゃ!!」 「で、でも、まだみんな信じてない。あれがホールだって」 ホールだって心のどこかでわかってるはずなのに、みんな信じてないのだ。じっと何かが起こるのを怯えながら見ている。逃さないと・・・。でも、どうやって・・・?いや、私にできることは一つしかない。 本当は二度と使いたくなかった。人を操りたくなんてなかった。だけど、誰かが死ぬよりは絶対にいい! 私は息を大きく吸い込み、みんなに聞こえるように叫んだ。 「!!!」 周囲の人たちは一斉にここから逃げ出す。すぐに公園は私以外の人がいなくなった。私も早く逃げなきゃ。 そう思って足を動かそうとした時、ホールから何かが出てきた。黒くて不気味な何か。 「あれが、エラント・・・」 あ、れ・・・?足が動かない。逃げなきゃいけないのに、力が入らない・・・。 ・・・怖い!! 初めて恐怖を知った。これ相手に、私は何ができるっていうのだろうか。足が動かないのなら、声は・・・?でも、こんなのに効くの? 「グギャァ!!!!」 「コトハ!!」 「こ、怖くて動けない・・・」 エラントは、こちらに気がついたようで、少しずつ近づいてきた。なんとかしなきゃ・・・。何か言わなきゃ・・・。 「止まって・・・」 囁きに近い声。だけど、こんなのじゃ届かない。胸の奥が熱い。全部吐き出したい。全部・・・。 「!!!!」 その瞬間何かが変わるのを感じた。でも景色は何も変わらない。。空に飛ぶ鳥も、風で揺れていた木々も、まるで時間が止まったかのようにピタリと静止している。 「何が起きたの・・・」 「多分、コトハの言葉で時間が止まったんだと思う。ボクはコトハに触れていたからなのか止まらなかったみたいだけど」 「時間が・・・?」 「でも、好都合だよ。これなら、ボクのブレスでエラントだけを倒せる。戦いながら手加減ってなかなか難しいけど、動かない相手なら楽勝だね」
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