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ハロはそう言って私の元から離れてエラントの方へ飛んだ。エラントの真正面で、水色のブレスを放つ。その姿は確かに竜種だった。でも、やっぱり綺麗だと思った。エラントは跡形もなく消えた。
「ハロ、ありがとう・・・」
「コトハが時間を止めてくれたおかげだよ」
安心からなのか、足から力が抜けてペタンと地面に座り込んだ。その瞬間、時間も動き出したようで、そよ風が吹いてきた。
助かったんだ・・・。改めて実感した。
「コトハ動ける?」
「もうちょっとだけ・・・」
「わかった。でも、なんでこんなところにエラントが・・・?ここは、安全区域の中でもさらに安全な場所のはずなんだ。エラントが多く出てくる魔法都市とは一番離れているから」
と、その時、空から何かが降ってきた。今度は何事だと思いながら私は降ってきた方を見た。
「こちらS1です。エラントはすでに駆除されたようです。目撃者一名。事情を聞き一度保護いたします」
《了解。詳細が分かり次第、報告をお願いします》
「多分あれは魔法士だよ」
ハロは、瞬時にフードの中に隠れたようで、耳元でコソッと教えてくれた。
「あれが、魔法士・・・。こっちにくる・・・!」
「キミ、大丈夫かい??」
よく見れば、私よりは上だろうけど、そこまで離れていないように見える。
私は、コクリと頷いた。長年の習慣。ハロ以外とは言葉を交わさない。
「よかった。あ、自己紹介がまだだね。俺は管理塔特殊部隊所属のエレイン・ドグリュール。キミの名前を教えてくれるかな?」
管理塔??特殊部隊??全然わからない。
「あ、管理塔っていうのは、魔法士たちを管理しているところだよ。俺は、その特殊部隊ってところに所属してるんだ」
私の疑問を読み取ったかのように答えていく。というか、心読まれたかと思った。
「キミの名前、教えてもらえる?」
危険な人ではないだろう。私は、スマホでポチポチと文字を打ち込む。
『コトハ・ペイシェルです』
「キミ、もしかして話せないのかい?いや、でもさっきのあれは・・・」
もしかして見られていたのだろうか。変に嘘ついても何か疑われるだけかな。
『別に話せなくはないです。ただ、話したくないだけです』
何故かジッと見られる。嘘はついてないし、問題ないと思うけど。
「なるほどね。まぁそれに関しては、また後で詳しく聞かせてくれるかな?あ、キミの名前を聞きそびれたね」
一応、さっき文字打って見せたんだけど・・・。
『コトハ・ペイシェルです』
「ペイシェル・・・?もしかして総司令の・・・?」
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