02・子を乞う幽霊

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 頬に触れた感触に意識が浮上する。  深い眠りに落ちていた僕は、強烈な睡魔に負けそうになりながらも目を擦った。 「んん……? クロ……?」  むにゃむにゃと呂律の回らない口調で、友人の名を呼ぶ。同居を始めてから早数日、クロは時々寝汚い僕を起こしてくれることがあった。  今は何時だろうか。こうして起こしてくるということは、もう起床時間を過ぎてしまっているのだろうか。そう思いながら無理やり目を開けた僕は、視界に映ったものを見て一気に目が覚める。  僕の胸元に乗って頬を触っていたのは、クロではなく、赤ん坊の人形だったのだ。 「は、」  間抜けな声を漏らした僕に、人形は歯を剥き出しにして笑いかけて。  僕はたまらず、朝から絶叫を響かせるのだった。
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