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思えば、僕は産まれたときから女運がなかった。
ストーカーや監禁未遂は当たり前、バレンタインチョコは必ず髪の毛入り、暴走した女の子に刃物を向けられること多数。挙句の果てに、七歳になるまで母親だと信じ切っていた人は誘拐犯だった。
そんな悲惨な経歴を持つ僕は、今もまた、女の影に悩まされている。
それもただの女ではない。恐らく「ゆ」の付く怖いもの。それが、夜な夜な寝室の床下を這いずり回るのだ。
床下で響くのは、気分が悪くなるほど不気味なすすり泣き。おまけに部屋を変えても必ず聞こえてくる。朝まで続くその声に、僕はすっかり寝不足になってしまった。
このままだと不眠で命を落としかねない。現に、ろくに睡眠がとれないまま一週間が経とうとしていた。授業を受けることすら苦痛で、何度か意識を飛ばしてしまったほど。
さすがに危機感を覚えた僕は、ふらふらとする頭を振って、今日こそは彼の助けを借りてみようと決めて教室を出る。
目指すは、こういうとき頼りになる歳下の友人のもとへと。
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