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「ねーじいさん、アンタ何でも直せるんだよね? じゃあ直してくれない? このクソガキ、いまだに掛け算できないの。サイアクじゃない? ちゃんとしたのにしてよ。……うるさいなあ、泣くなよ鬱陶しい! 静かにしなさい真理奈!」
「ハロ~久しぶり、えーっと名前なんだっけ? まあいいや。ねえ、このギャンギャン泣くクソガキどうにかしてよ? アンタならできるって聞いたんだけど。泣かないようにして。何なら廃品回収とかしてねえの? マジいらねえんだけどコレ。……あーうるせえなあ、泣くなっつってんだろ知一! ……ああ、気にしなくていいよ。これシツケだから。大丈夫だよ死んでねえから」
「こんにちは、十五年ぶりくらいかな? コレ、もっとお利口さんにできないかな? 専門なんでしょ? ……静かにしなさい、本当にダメな子ねアンタは。いい? 私がしゃべっていいって言うまで、声を出さないで。わかった?悠莉」
器械なら、道具ならいくらでも買い替えて捨てることができるのに、どうして人間はそれをやったらだめなの? そんな声が上がり始めた。子供は親を選ぶ権利がないって言うけど、親だって子供を選ぶ権利がないじゃないか。
そんな声があがってできたのは、人格移植システムの施行。問題があると判断された子供を持つ親は、生体アンドロイドに性格を移植して理想の我が子を手に入れることができる。
記憶も自由に書き換えられるので都合が悪いと判断した記憶は消せる。アンドロイドはいかに相手を幸せにするかを考えて行動する。生身の肉体の方は、移植手術の負荷に耐えられずに死んでしまう。
「じいじ、あのね、ママに鳥のおもちゃ壊しちゃったことちゃんと言ったの。怒られるかと思ったけど、直してくれてありがとうって笑ってくれた」
「そうか、よかったね。ママと仲良くするんだよ」
「うん!」
子供はこんなにも優しい。
「じいじ、お父さんが買ってくれたゲーム機直してくれてありがとう! お父さん喜んでた、今度お金払いに行くって言ってた」
「そうか。でも、そしたらまたお仕事たくさんやらなきゃいけないね」
「うん、そしたら僕と一緒にご飯食べる時間なくなっちゃうから、僕が出世払いするって言っておいた。ありがとうじいじ!」
「お父さんと仲良くするんだよ」
「うん!」
笑った顔はとても可愛い。
「じいじ、お母さんがポコたんにお洋服作ってくれたの、みてみて」
「よくに合ってるねえ、お揃いなんだね」
「うん。私に作ってくれたワンピースの布で作ってくれたの。お手伝いしたお礼だって!」
「そうか、お母さんも毎日大変なんだと思うから、お手伝い続けるんだよ」
「うん!」
相手を思いやる気持ちはちゃんとある。そうやって優しい大人に育っていけばいい。
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