或る子供の復讐

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 鼻が低くて単なるお平顔かと言うと、そうではなく横から見ても丸っこい丸顔。そして目もくりくりしていて丸い。勝男はそんな顔をした小学六年生。  彼は性に目覚めるのが早くて思春期に入り立ての小学三年の終わり頃から早くもマスターベーションをするようになった。だから小学五年の時に初恋した相手である同級の女子生徒に嫌がられているのが明らかに分かると、仕方なく学級写真に映っているその子を見ながら件の行為をすることもあった。  そもそも勝男はもてるタイプでなかった。しかし今、恋している同級生の遥香によく笑いかけられ、話しても面白がられるので遥香ちゃんは僕に好意を持っているに違いないと思うに至った。  或る日も休み時間に自分的には楽しく彼女とおしゃべりが出来たので浮き浮きしながら帰宅すると、同級生全員に配布されているタブレットで、どんな書き込みがしてあるのか気になるチャットを見てみた。  するとマナガツオという言葉が目に付く程、矢鱈に書き込まれているのが分かった。  マナガツオ言えてるとかマナガツオって受けるんですけどとかマナガツオマジ笑えるとか文字が躍っているのでマナガツオって何のことだ?と疑問に思った勝男は、マナガツオをネットで検索して吞み込むと、マナガツオの出所を探るべくチャット欄をスクロールして遡って行った。  すると、木下君の横顔ってマナガツオの横顔に似てると思わない?と書き込んであるのから始まっているのが分かった。で、その主が遥香だと知って勝男はピンと来た。  そうか、僕の横顔がマナガツオの横顔に似てるから可笑しくて笑ってばかりいたんだ。そう言えば、別に面白くないことを喋っていても時々噴き出したりするから変な気もしてたんだが、糞、馬鹿にされてたのかと気づいた日には頭に血が上った。  お陰で僕はクラスの良い物笑いになってしまった。あーあ、明日から皆にからかわれるだろうなあ。糞、遥香め!可愛さ余って憎さ百倍!正にその心境に勝男は陥ったのだった。  翌日から勝男は自分が懸念していた以上に学校で苦しむ破目になった。彼に対するいじめが始まったのだ。お前は今日から木下マナガツオと名乗れなぞと揶揄され、差別がエスカレートして、それまで友達だった者までもが勝男の味方をすると、仲間外れにされるから皆と一緒に勝男をいじめたりシカトしたりするようになってしまった。おまけに遥香も無視する。だから勝男は日に日に遥香への恨みが募って行った。  時には死にたいと思う程、落ち込むこともあったが、負けてなるものかと反骨精神が湧いた勝男は、復讐する決心をし、遂に名案が浮かんだ。  或る日の体育の授業後、教室へ着替えに戻った遥香は、自分のスカートがない事に気づき、その事を先生に告げた。盗んだのは一体、誰なのか?先生はクラス全員に対して皆の前では名乗り出れないでしょうから私が職員室にいる時に名乗り出なさい、皆には内緒にするからと言ったが、結局、誰も名乗り出ず仕舞いで仕方なく体操着の短パン姿で遥香は帰宅することとなった。  一人っ子で鍵っ子なので独り留守番の間、盗まれたのがお気に入りのスカートである為に誰が盗んだんだろうと考えると、酷く頭に来て、男子だったらと考えると、気分が悪くなった。そんな折、テレビインターフォンが鳴った。で、モニターを見ると、勝男が映っているのでびっくりして話してみると、スカートの在りかを知ってると言うので何処かと訊くと、僕と一緒に来るなら教えてあげると言うのだった。  お気に入りのスカートだけに遥香は勝男と出歩くのは嫌ではあるものの躊躇してる場合じゃないと外へ出た。  道すがらスカートは何処なの?とか誰が盗んだの?とか訊いても僕と一緒に歩いて行けば分かるよと言うだけなので遥香は勝男について行くしかなかった。  行き着いた先は林の中の祠。喬木に覆われ、シダ類や苔類が生い茂るじめじめした薄暗い人気のない所だった。 「この中に入れたよ」と勝男が祠を指差して言うので遥香はまたもやびっくりして言った。 「てことは何!木下君が盗んだの?」 「そうだ」勝男は体育の授業前、皆が着替えを終え、教室から出た後、こっそり教室に忍び込み、遥香の机の所まで来ると、彼女のスカートを手に取り、匂いを嗅いだりしてから小さく折り畳んで自分の下駄箱に一旦隠し、下校の時に持ち出した足で祠まで行って中に入れた次第だ。 「何てことするの!罰が当たるわよ!」 「そんなこと構わない。僕はもっと罰当たりなことをするんだから」と勝男は言うが早いか遥香に抱き着いて遥香を押し倒した。 「な、何する気!」 「ひっひっひ!僕は早熟なもんでね」  勝男は自分より小柄で非力な遥香を赤子の手をひねるようにねじ伏せ、ものすごい勢いで無理矢理、彼女のシャツとジュニアブラを脱がすと、無我夢中で彼女の胸に吸い付いた。  そうして彼女の胸を涎塗れにする内、彼は呆気なく射精した。精子でパンツの前開き部分がべとべとになった。彼は満足して行為を止めた。  遥香が草の上に上半身裸の状態で寝転がった儘、泣き喚いているのを勝男はスマホでぱちりと撮影してから仁王立ちで見下ろしながら言い放った。 「もし、スカートを僕が盗んだとばらしたら僕は今、写真に撮ったお前の裸を皆に見せて回ってやる!」  勝男は勝ち誇った顔で、ざまあ見ろ!と言葉尻で叫ぶなり、ハッハッハ!と笑い飛ばしてその場を立ち去った。こんなことが出来る子供は僕だけだと思いながら・・・      
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