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「いいですよ。これは僕がプレゼントします」
「やったね。そしたら、香りは蓮くんに選ばせてあげる」
香りは全部で三種類あって、ラベンダーとレモンとローズだ。
それぞれテスターが備え置かれていたので、試しに吹きかけてみる。
「三つとも結構違いますね。これ、また全部欲しくなるパターンですよ」
「財布のひもがゆるすぎるよ。これは一つにしよう」
「千鶴さんはどれがいいんですか? 千鶴さんが決めてくださいよ」
「ダメだよ。家で使うんだから、蓮くんだってこの香りを味わうんだよ」
そう言われても、僕にはどれがいいのかなんてわからない。
さすがに三つの区別がつかないということはないが、特に気に入ったものがあるわけでもない。
「どれを選んでも怒らないでくださいよ?」
「なにそれ、怒るわけないじゃん。怒るくらいなら最初から私が決めてるって」
それはわかっているけれど、確認はしておきたいのだ。
ちょっとムッとした表情が見たいというわけではない。
「じゃあこれにします」
「へー、意外。蓮くんはこっちにするかと思った」
僕が選んだものはローズで、千鶴さんが予想していたものはレモンだった。
どうしてその予想になったのかは聞かない。
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