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「あはは、楽しい!」 「何が楽しいんですか。ちゃんと見えてます? あれが河口湖ですよ」 「見えないなぁ。おんぶしてもらったら見えるかな?」 「しませんよ」 「ダメか。ホントにあんまり見えてないんだけど」  そう言われるとおんぶでも肩車でもしてあげたい気持ちが芽生えないわけでもないのだが、ここはゆずらないぞ。 「うん。満足した。そろそろ行こうか」  そう言って僕の右手をぎゅっと握った千鶴さんは、暗がりでも輝くまばゆい笑顔だった。  この笑顔を僕が作れたのかと思うと、なんだかとっても誇らしい。  閉園時間ギリギリに出て行く僕たちにも丁寧に頭を下げて見送ってくれた店員さんたちにお辞儀を返して、幸せ気分のまま僕たちは車へと戻った。 「このあとはごはんだね?」 「そうです。お肉を食べます」 「まだまだデートは続くんだね。今日はとってもいい日だなぁ」  上機嫌の千鶴さんがシートベルトを着けるのを確認して、車を走らせる。  混雑具合は解消されているようだった。
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