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「あー、いや、あのあとも買い物とかが続いたから、ほとんど考えられてないです」 「そっか。じゃあもう少し時間をあげる」  答え合わせにはならないのか。  暗に降参を示したつもりなのに。  千鶴さんも千鶴さんで、僕の隠れたメッセージを見抜いたうえでじらしているのだろうか。 「千鶴さんがそうやって言うってことは、僕にもわかるはずってことなんですよねー」 「そう思ってくれてるなら、すぐに正解にたどり着けそうな気がするんだけど」 「答えを言われるとすぐに納得できるんですけど、なかなか思いつかないんですよね」 「今回はどうかな。もしかしたら、私のほうに思い違いがあるかもしれない」  いや、それはないと思いますよ。  千鶴さんがなにかを誤解している可能性よりも、僕の理解が及んでいない可能性のほうがはるかに高い。  過去の実績がそれを証明してくれている。 「なにかヒントはもらえないですか?」 「それが難しいんだよねー。ヒントを出したら、もはやそれが答えじゃんって気がしてさ」 「わかりやすいってことですか?」 「どうかな? 蓮くんならわかると思うっていうか、蓮くんにはわかってほしいっていうか」  僕にわかってほしい。それはそうだろう。  千鶴さんがこうして僕になにかしらの回答を求めるときはそういうときだ。
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