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「僕は別に、必要ないと思うんですよね。服装だって、清潔さが保たれていれば毎日似たようなものでもいいと思うんですけど」 「あっ、そうきたか。それはそれでいいのかな。いや、やっぱりダメな気がする」 「高校生まではそうじゃないですか。学校に行くのに化粧はしないでしょうし、毎日制服でも全然違和感ないですし」 「それと同じにされちゃうかー」  どうやら千鶴さんの思惑から外れたらしい。  ここは僕から軌道修正を図ろう。 「お化粧はやっぱり必要ってことですか?」 「うん。蓮くんの言うこともわかるよ。きっと気遣いの現われだとは思うし。でも、世の中の女性が一切お化粧をしなくなったらって考えたらどう? 想像できる?」  学校生活がまさにそれなんじゃないかと思ったが、さすがに世の女性全員がとなると話が違うか。  でも、だとすると何が違う? 「私は想像できない。想像したくもないよ」  僕が何も言えずにいると、千鶴さんが先に声を出した。  この言葉に反応する前に、さらに千鶴さんは続ける。
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