日陰に咲く

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 先輩は中島兄弟となかなか仲が良いのか、求めてもない中島情報を流してくれた。 「光は他の学校に彼女がいるんだよ」 「ふぅん」  初めて聞く話だけど、別に中島は友達じゃないし大した興味はない。私の相槌も、ついそっけないものになる。 「同じ学校に彼女がいるわけじゃないし、まわりの友達もそれを知らないから、彼女がいないと思われてる」 「それで、いいようにみんなに遊ばれてるんですね」 「そう」  おかげで、私までとんだとばっちりをくらっている。本当にいい迷惑だ。もしも話す機会があれば、一言ガツンと言ってやりたい。そんな機会はなかなかなさそうだけど。クラスも違うし、同じクラスだったとしても会話するきっかけなんて、隣の席になってもなさそう。  足音が聞こえてドアの方を見ると、ドアが開いて倉田先生が入ってきた。先輩と待っていることが当たり前になってきて、最初のうちは毎度先輩を茶化していた先生も、先輩がいることに触れなくなった。 「あら、早かった?」  先生が少しだけ眉を上げて先輩を見る。 「いいえ、ずっと待ってましたけど」  先輩は何も言わないので、私が代わりに返事をすると、先生は「ふーん」と言ったきり特に何も言わなかった。  倉田先生は窓と机をさっと見回して、片付けがしっかり終わっているのを確認している。  先輩は今日も、先生が部屋の中を確認している間に廊下に出ていってしまった。倉田先生も私も、先輩を引き止めたりはしない。 「じゃ、私たちも出ましょうかね」 「はい」 「今日もおつかれさま」  倉田先生は鍵を閉めながら、「そういえば」と試験の話題を振ってきた。 「メイちゃんはちゃんと宿題もやってくるタイプだし、ここで勉強もしてるみたいだから、今度の期末試験は大丈夫そうかな?」 「初めての試験なので、どうでしょう」  まだ小テスト以外の試験を受けたことがないので、あいまいにしか返事ができない。塾でも勉強はしているし、今までも成績が悪い方ではなかったから、期末試験もそこそこできるんじゃないかと自分で期待はしてる。でも、そんなこと先生に言って、実際の結果がともなってなかったら恥ずかしい。
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