くる年の僕たちは。

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 翌朝、真思はベッドの中から充之を見送った。  具合を心配されたが、少し違和感が残るだけで意外と平気だった。今日はこのままこちらでゆっくり充之の帰りを待つことにする。  今朝の充之は昨日の不安定な様子はなく落ち着いていた。真思に教えられながら餅をレンチンして朝ごはんを用意した。病気でもないのにベッドで食べされられて真思が困ってしまう。 行ってくる、と口づけて出かけていった。  午前中を毛布にくるまって過ごし、午後は洗濯などをした。基本的に物が少ないので家事も楽だ。スマホに母親からと、珍しく兄からもメッセージが届いて少しだけやり取りした。やはり想像通り、恋人発言があったらしい。父親は驚いていたが母親が太鼓判を押したという。いつでもいいので紹介しろ、と兄に伝言してきたそうだ。同性であることも抵抗なく受け止めてくれている。兄は弟にもパートナーができて嬉しいと言ってくれた。  母親からドヤ顔のスタンプが届く。  充之がテイクアウトのピザを買って帰ってきた。はふはふしながら食べる。真思のスマホのメッセージを見てにやにやする。    どうしようもなく幸せだ。  充之が今夜は自室に帰るという真思を車で送ってくれた。車を降りるときにまたあとで、と指に触れた。言い出せない気持ちが伝わるようだった。 『もう離れたくない』  その夜のメッセージは一言だけだった。
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