恋人との日常は。

2/3
64人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
 充之は着替えを入れたバックパックを持って帰ってきた。  玄関で出迎えた真思を、柔らかく抱きしめてくれる。 「汚れちゃうね」 真思に回した腕を解いてバスルームへ向かおうとして振り向いた。 「一緒に入る?」 「ご飯の仕度するから!」 一瞬で真っ赤になった真思に無理強いすることなく笑っている。  汗を流した充之が部屋へ戻ると、テーブルには肉じゃがとカニ玉、茄子の味噌汁が並んでいた。   「うまそう‥。嬉しいけどまた無理してない?」 「大丈夫。味は自信ないけど」  いつものように手を合わせて食べ始める。    時短レシピを検索して作った肉じゃがは、ちゃんと味が染みていた。充之も箸が進んでいる。  年末へ向け、そろそろ仕事が忙しくなっている。充之の食生活が気掛かりな真思はほっとした。ご飯をおかわりされ、こっそりとガッツポーズをする。  きれいに食べ終えた充之が、後片付けをするために立ち上がる。父子家庭で育った充之は料理以外の家事には慣れているのだ。 「真思はお風呂いっといで」  充之の言葉にどきっとする。    赤くなった顔を見られないようにそそくさとバスルームに逃げ込んだ。        
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!