不確かで揺るぎない。

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 翌朝はしっかり寝坊した。    食堂での朝食を諦め眠気覚ましに内風呂に入る。重なるように浴槽に身を沈めたとたん、胸元の赤い跡が目にはいる。真思が恥ずかしさから身体を丸めると少し荒れた手が肩を撫でた。  その手が不慣れな真思を宥めるようにひたすら優しく甘やかしたこと、耳元で切なく名前を呼ばれ嬉しくて涙を溢したこと、思い出して火照りそうな心を鎮める。  肩に置かれた指に触れるようにキスをして、ありがとうと小さく伝えた。つむじにチュッとお返しされ、余韻に浸りたくなるがチェックアウトの時間だ。    このあと大事な予定がある。 いつもより髪形を気にする充之に、大丈夫だよと声をかけてフロントに向かう。   「よろしければこちらをお持ちください」  女将さんに小さな包みを渡された。 「朝食にお見かけしませんでしたので、勝手に用意させていただきました」  寝坊して朝食を食べ損ねたことを詫びる。 「私などは目が覚めてしまいますから羨ましいです。お疲れがとれたのならよかったですね」  お礼を言って宿をあとにした。  包みの中はおこわのおむすびだった。山菜と栗が入っている。食べやすいようにと気配りして小さくむすんである。ほっこりと心が温かくなり少しだけ緊張が緩む気がする。
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