不確かで揺るぎない。

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 昼前に真思の実家へ到着した。    土曜日で父親が休みなのは確認してある。運転中も口数の少なかった充之が意を決するようにハンドルを握りしめている。    真思がスマホの画面を差し出した。 今日は仕事で家にいない妹からのメッセージのようだ。 『お母さんとおばあちゃんが最近ドラマばっかり見てるんだよ!実はお父さんもこっそり見てるらしい(笑)私もイケメンの彼氏さんに会いたかったよー(泣)』  大評判になった男性カップルの日常を扱ったドラマのことらしい。特大ハートのスタンプに応援してくれているのを感じる。砕けたくはないが当たるしかない、と車を降りた。  両親だけでなく実家を出ている兄までいた。    玄関で名乗るなり体を90度に折り曲げた充之に驚いている。引き立てるようにして皆で部屋へ入る。父と兄を前にして、充之の横に座った真思も、とたんに緊張してきた。旅館で買った手土産を渡し、正月に何も言わず帰ってしまったことを詫びる。   「田所くん、だったね。真思と、その……」  口にすることが憚られるのか。 「あらあら、お父さんがこんな調子だとマコもアッくんも緊張するわね」  お茶を淹れた母親が入ってきて部屋の空気がわずかに和らいだ。 「お母さん、正月はすみませんでした。あとおせちありがとうございます。とてもおいしかったです」    妻と充之が話すのを、落ち着かない様子で父が見ている。  真思は姿勢を正すと、硬い表情をしている父親に向き直った。  
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