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風呂上がりの真思を、充之が後ろから抱えるように座りこんだ。
柔らかい髪の毛に指を入れ、ドライヤーの風を当ててくれる。
充之の足の間にいる体勢は恥ずかしいけれど、気持ちがよくてされるままになる。
髪が乾くと、湯冷めしないようにと背中を抱かれたままホットレモネードの入ったカップが口元に寄せられた。
うつむいてコクコクと飲むと、爽やかな香りと蜂蜜の優しい甘さにほっと息をつく。
充之も自分の口に含み、こくっと喉を鳴らした。
そのままなんとなくすっぽりとはまったまま、ふたりとも黙っている。
充之の指が手をさわさわと撫でていて、真思は自分の鼓動が高鳴るのを抑えられなくなってきた。涙が滲む。
「ベッドに行こうか」
耳元にいつもより抑えた声で囁かれると、もうしがみつくことしかできなかった。
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