ゆく年の俺たちは。

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ゆく年の俺たちは。

 いよいよ12月だ。    だからといって特別なことは何もなくて、職場と家を往復する充之である。  仕事が忙しくて真思と恋人らしい時間も過ごせていない。    これまでの充之ならこのままフェードアウトして相手から別れを切り出されていることだろう。そうならないためにはどうすればいいのか、柄にもないことを考えている。    自分がこんなに執着するなんて思いもよらなかった。真思と離れるなんて到底受け入れられない、ただその一心なのだ。  こんな気持ちを自覚したのは初めて真思の部屋へ泊まった日の朝だった。    腕の中のふわふわと温かい存在に、目を瞬かせた。これまで肌を重ねた女性とそのまま眠ったことなんて無かったから。冷たい男だと言われたことすらある。  それなのに安心して眠る様子に幸せな気持ちでいっぱいになった。かわいい寝顔を見つめていると鼻の奥がツンとする。そしてまぶたがゆっくりとひらいて充之と目をあわせた。  寝起きの少し掠れた声が恥ずかしそうだった。 「アツシ、おはよ‥。朝ごはん用意するね」  真思は休みだから早起きする必要はなかったのに俺のために起き出してくれた。嬉しくて慌ててベッドを出たのだ。  いってらっしゃい、とキスで送り出された。  その日は会えない時間の真思をあれこれと想像してしまってそわそわと落ち着かなかった。  なんとか仕事を終えたがぐったりと疲れてしまった。
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