くる年の僕たちは。

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くる年の僕たちは。

 あと5日で今年も終わりだ。  手袋をしていてもかじかむ指を温めながら自転車のハンドルを握る。  休日だったのでおでんを作ってみた。保存容器に詰め替えたものを充之のところへ届けるつもりだ。  帰宅したとメッセージが入ったばかりなのでまだ起きているだろう。疲れて食事も摂らずに寝てしまう日もあると言っていたから急がなくては。 「こんなことして、重いとか言われるかも」  年末が近づくにつれ忙しさもピークらしく、先週から真思の部屋へも来ていない。体調も心配だけど会いたい気持ちが止まらない。  付き合い始めた頃は、カッコイイなぁと憧れるだけだった。でも最近の彼は弱った顔を見せてくれるようになり、ますます好きになった。助けられるばかりでなく、自分が彼を励ましているとわかり嬉しいのだ。 「え?真思!?なんで?」    真思を見て驚く顔が少しやつれている。玄関に入りビニール袋を押し付けた。 「作ってくれたの?うまそう!」    よかった。好みも聞いていなかったが大丈夫そうだ。 「食べられる分だけでも食べて。容器はいそがないから。こっちはカレーのストック。冷凍庫に入れてね」  手短に用件を伝えて、帰り道を心配する彼の口に触れるだけのキスをする。  勢いよく離れてそのまま外へと飛び出した。  たった数分間なのに心臓がバクバクする。  眠る前に届いたメッセージで、ちゃんと食べてくれたとわかりほっとした。  少しでも疲れがとれるといいなと思いながら目を閉じた。
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