くる年の僕たちは。

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 新しい年はとてもよい天気で始まった。  いつもと変わらず家族で挨拶を交わし、おせち料理や雑煮を食べる。  祖父母が自営業で忙しいため、正月はのんびり過ごすことが多い家だ。ちょっとした旅行に行くこともあった。今年は祖父が廃業を決めたというので慰労を兼ねていた。 「おじいちゃんたら、お店やめたら好きなようにパンが焼けるって言うのよ」  おばあちゃんが笑っている。  商売ではないのだから、好きなパンを好きなだけ焼いて好きなひとに食べてもらう、おじいちゃんらしい意見だ。 「暇すぎるのもよくないけど、せっかくだから私と旅行にでも出かけようと誘ってくれると思っていたのに」  そんなことを言いながらおばあちゃんはにこにこしている。去年のうちに充之をお店に連れていけてよかった、と思う。  しばらくすると、父と兄は仕事の話になり、おじいちゃんがごろごろし始めた。  真思は後片付けを手伝いながら母親にこっそりと聞いてみた。 「今日、急にひとが増えても大丈夫かな」 「あら、あっくん来てくれるの?」  母の口からそんな名前が出るとは思わず、とっさに返事ができなかった。 「昨日まで仕事が忙しくて。連絡くれることになってるんだけど」 「そうなんだ、大変だね。うちは大丈夫だけど無理はしないでね」  母の言葉に優しさを感じる。ちょうどそのとき真思のスマホにメッセージが届いた。  『ごめん、やっぱり無理。アパートに戻る。ほんとごめん。』
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