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恋人との日常は。
11月になった。
街路樹が葉を落とし始めると、街は慌ただしく秋から冬へと衣替えをする。
岡崎真思は仕事を終えて店を出た。
マフラーをしてこなかったことをちょっと後悔しながら自転車をこぐ足に力を込める。
今夜は恋人である田所充之が部屋へ泊まりにくることになっているのだ。
男らしいその顔を思い出すと、ひんやりした空気に晒された頬が熱くなった。
半年前、真思が働く店へ高校時代にクラスメイトだった充之が眼鏡を作りにきた。
7年ぶりの再会だったのに、充之は真思を覚えてくれていた。誘われて何度か遊ぶうちに好きだと告白された。真思も自分の気持ちを打ち明けて2ヶ月前から付き合っている。
ただイチャラブ期なのに休日が合わない。
よその事情は知らないが交際は順調だと思う。毎日メッセージを送りあっているし、デートに出かけられないので真思の部屋でご飯を食べるようになった。
前回、帰り際に
「次は泊まりたいなぁ」
と言われたから、今日は仕事中からそわそわしている。
真思は翌朝のパンを買って、大急ぎで帰宅した。
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