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異世界からの召還
「この世界。《幻想界》は100年前後に1人、《人間界》から人間が召還される。そしてその人間は《魔法大全》という書物を書き残し、新しい国を創る。この《ソハラ》の国が今現在一番新しい国で19番目の国だ。
19番目といっても長い歴史の中で消えていった国もあるのだが…。誰が何の目的で召還するのかは分からないが、召還された者は何かしらの特殊な能力を持ち、その力で国を興すのだ。」
「ソハラが出来てから既に100年以上経っている。次の20番目の国を創る異世界人がそろそろ現れる時期なのだ。」
「そして10年程前に自らを異世界からやってきた異世界人だという《ノスト·ラダムス》という人物が現れた。その者は召還者と認めざるをえないような不思議な力を持ち。皆が20番目の召還者だと信じて疑わなかった。だが数年前にぱったりと姿を消した。今でも行方不明のままだ。」
「だが今君が現れて君も召還者かもしれないという事で正直戸惑っている。君は召還された事に心当たりは無いのかい?」
俺は答えた。
「召還された事には全く心当たりはありません。ただ今の話しの中で出てきた《魔法大全》は持っています。」
「それと…」
次を言いかけたその時だった。
「《魔法大全》を持っているだって?」
驚いたような口調でこちらの話しに食いついて来た。
俺は"収納"から《魔法大全》を出し見せた。
「これが《魔法大全》。…
実物を見るのは初めてだ。…」
「これは君が書いたのかい?」
「いいえ。先程話した部屋に置いてあったのがこの本です。」
エディーは魔法大全をパラパラとめくりながら。
「これはすごい。ありとあらゆる魔法について網羅されている。こんな本が存在するなんて。コウイチ。この本を譲ってくれないか?」
「すいません。この世界に来てこの本のおかげで生きてこられました。なのでお譲りする事は出来ません。」
「そうか。まぁ当然だろうなぁ。」
と残念そうな顔をしながら、魔法大全を返してくれた。
「君が最初にいたという小屋はいったいどこにあるんだい?」
今度は小屋について聞かれた。
「サラマの森の中です。」
「その小屋がノスト·ラダムスの小屋である 可能性もある。何かノストについての情報があるかも知れん。ノストはソハラに現れる事が多く、一時期このあたりに住んでるのではないか?と噂が流れたほどだ。おいっ。ダン。すぐに調査隊を編成しろ。小屋を探しにいくぞ!」
そう言って隣のダンに指示する。
「あのぉ。」
俺はさっき言いそびれた事を話す。
「そのノスト·ラダムスについてなのですが、僕が元いた世界に大予言者としてノストラダムスっていう人物が存在していました。その人は昔の人でもう亡くなられているので、こっちの世界のノスト·ラダムスと同一人物か?は分かりませんが…。」
「預言者かぁ。そういえばノストの奴、何か意味深な事を言ってたなぁ。」
そう言って本棚から何かを探し始める。
『太陽から聖なる光が差し込む時、闘志という武器を手に鬼門へと向かえ。龍と共に大きく開いた悪魔の口を塞ぐのだ。』
「あっちの世界のノストラダムスもこんな感じの抽象的的な預言を残す人でした。」
「ノストはやはり召還者の可能性が高いなぁ。」
「ところでコウイチ君。我々のクランに加入しないか?」
「すいません。少し考えさせて下さい。何しろまだこの世界に来たばっかりでこの世界の事がよく分かっていないもので。」
「焦る必要はないさ。我々はいつでも君を歓迎するよ。」
「あと、魔法大全や自分が召還者という事は他の人には話さない方がいい。召還者の力は国を興すほどの力。どの国も欲しがっている。中には悪用しようとする奴もいるはずだ。」
「分かりました。気をつけます。」
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