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転生
薄暗くカビ臭い…
目が覚めると書庫のような部屋にいた。
『ここは?…』
見たこともない部屋。
何故自分がここにいるのか分からない。
思い出そうとしても思い出せない。
昨日までは普通に学校に通っていつもと変わらない日常だった。
目が慣れてきて辺りを見渡すと窓も無く壁一面には高さ3メートルほどの大きな本棚があり、中央には大きな机が置かれている。
机の真正面には扉が1つあり、恐る恐るドアを開けて外に出た。
辺りは木々に覆われており、森の中にポツンと今いた小屋がある。
もう一度その小屋に戻ると、先程は暗くて見えなかったが、開けたドアから入る日差しに照らされた床には魔方陣のような模様が書かれており、中央の机には分厚い一冊の本が置かれている。
本は見たこともない文字で書かれているが何故か読める。表紙には《魔法大全20》と書かれていた。本棚にある本も魔法に関するものばかりで何故自分がここにいるのか?のヒントになるような物は何もなかった。
仕方なく魔法大全20を読むうちに、この本の通りにやれば魔法が使えるか?試したくなり、"光"の項目の初歩である"ライト"の魔法を発動させる為、指先に魔法力を込めるイメージで力を込めると指先が懐中電灯のように光った。
『本当に魔法が使える…』
魔法が使える事が面白くなり本を読み進め、色々な魔法を試してみた。
"火"の項目"火炎"のような攻撃魔法から、"時空"の項目の"収納"魔法まで…、気が付くと既に陽は落ち、暗くなっていたが"ライト"の魔法の灯りを頼りに夜通し読み続けた。
朝になりさすがにお腹がすいてきた。
何か食べるものは無いか?近くに街は無いか?
探す為、森の中に入る事にした。
30分ほど森の中を歩いたが、食べれそうな物も無く、森を抜ける気配も無い。これ以上深入りすると道に迷いそうだ。一旦小屋に戻ろうか?と悩んでいると、
『カサカサカサ』
物音が聞こえる。
茂みをかき分け、音がした方を見てみると背丈は子供ほどだが、耳や鼻は先が尖り、肌は緑、腰布を巻き、手にはこん棒やなたを持った見たこともない異形の生き物が3匹そこにいた。その姿はゲームなどに出てくるゴブリンそのものだった。
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