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星の降る夜、音のない世界で、君の声を
それは、まだ春でも夏でもない季節だった。
季節の衣替えみたいな、この時期に夜空を見上げると、あの時、彼に恋した、『愛おしい気持ち』が、流れ星みたいに心を掠める。
『あみ、星が堕ちてくるな』
ーーーー私達は、見上げた夜空から星が、ころがり堕ちるようにして、あなたの名前みたいにあっという間に恋に堕ちた……って、私は思ってる。
私は、今夜も夜空に輝く星たちに囲まれて、背伸びして、背の高い彼の左耳に囁くの。
『瞬、だいすきだよ』って。
ーーーー高校一年生の春、私は人生で一番尖ってたと思う。
昨日、髪の毛は、なんとなく馴染みの美容師に勧められて、ピンクがかった赤茶に染めた。爪は伸ばして、流行りのブランドのピンクのマニキュアを塗ったし、ピアスは両方とも1つずつ穴を増やした。
理由なんてない。なんでも良かった。寂しくて、自信なんて一つもなくて、自分を好きになれない自分を、外側を変える事で燻った心を消費したかった。『皆』みたいに、なんて、どの『皆』かも分からない子たちの真似をして、安心したかっただけかもしれない。それに今思えば、私に無関心な両親の気も引きたかったんだと思う。
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