【02】 自分のための選択

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私のことを「汚い」「不潔」だと罵る男子たちに、昔愁斗くんは言ってくれた。 ――そうやって言うオマエらの方が、心汚いじゃんか。 そして、毎回隠される教科書や体操服を、いつも一緒に探してくれた。 「私は、愁斗くんの顔を醜いなんて思わないよ。それに…立派な勲章だよ」 愁斗くんの、伸ばした前髪を指さす。 片目の周りにある火傷を、クラスメイトたちは「醜い」と罵った。 愁斗くんが、家で暴力を振るわれていることを知っている。 だから、愁斗くんの首吊りの理由が、いじめだけじゃないことだってわかってる。 タイムリープした私には、愁斗くんのいじめを止めることはできても、自ら命を絶つという選択を変えることができない。 いじめを止めたのだって、結局私の心を救うため。 私のせいで…っていう後悔を消すため。 私が今何を言ったって、愁斗くんの未来は変えられない。 それでも、どうしても言いたかった。 愁斗くんがクラスメイトに言われた言葉を、真に受けてほしくなくて。 傷ついてほしくなくて。 それらの言葉を、否定したかった。 「かっこいいと思うよ。だから、隠さなくっていいんだよ。堂々としてたらいいんだよ!」
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