【02】 自分のための選択

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「おはよう」 私が声を掛けると、お母さんが驚いたような顔をする。 無理もない。 お母さんの再婚で、お風呂に入れるようになったけど、新しいお父さんを認めることができなくて、私とお母さんは距離を取るようになっていたから。 それがきっかけで、タイムリープ前の人生では、両親共に新しい子供だけに愛情を注ぐようになって、ひとり孤立してしまった。 今度の人生では、家族みんなで仲良くしたい。 「お、おはよう、小春」 朝食を済ませ、中学校へ向かう。 通学路は、10年以上ぶりなのに何故だか道を覚えていて、習慣の凄さを思い知った。 「…教室、行くのちょっと怖いな」 怖いけど、でも私が怯えてたらダメだよね。 深呼吸をして、校舎に足を踏み入れる。 靴箱も上履きも綺麗なままで、私へのいじめがなくなった後にタイムリープしていることを実感した。
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