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「に、逃げようっ」
怖くなって、私は愁斗くんの腕を掴むと、教室を飛び出した。
後ろでクラスの女子の悲鳴が聞こえたけど、かまっていられなかった。
屋上に続く階段を上り、屋上前の踊り場に座る。
私も愁斗くんも、すっかり息が切れていた。
運動を暫くしていなかったから、全速力で走るのは久々だった。
やっぱ、10代って動けて凄いなぁ。
明日の筋肉痛とか気にしなくていいし!
床に座り込んで息を整えていると、
「小春ちゃんって、意外とハッキリ物言うんだね」
肩で息をしながら愁斗くんが言った。
急激に恥ずかしさが襲ってきて、私は熱を帯びた顔を手で隠す。
「あ、いやその…あれは何て言うか…」
「びっくりしたけど嬉しかった。でも、俺をかばって大丈夫だったの?」
呼吸が乱れて言葉が出ないから、私は何度も首を縦に振った。
「いじめを見て見ぬふりなんてしたくないし、それに、愁斗くんだって助けてくれたでしょ」
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