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私のことを「汚い」「不潔」だと罵る男子たちに、昔愁斗くんは言ってくれた。
――そうやって言うオマエらの方が、心汚いじゃんか。
そして、毎回隠される教科書や体操服を、いつも一緒に探してくれた。
「私は、愁斗くんの顔を醜いなんて思わないよ。それに…立派な勲章だよ」
愁斗くんの、伸ばした前髪を指さす。
片目の周りにある火傷を、クラスメイトたちは「醜い」と罵った。
愁斗くんが、家で暴力を振るわれていることを知っている。
だから、愁斗くんの首吊りの理由が、いじめだけじゃないことだってわかってる。
タイムリープした私には、愁斗くんのいじめを止めることはできても、自ら命を絶つという選択を変えることができない。
いじめを止めたのだって、結局私の心を救うため。
私のせいで…っていう後悔を消すため。
私が今何を言ったって、愁斗くんの未来は変えられない。
それでも、どうしても言いたかった。
愁斗くんがクラスメイトに言われた言葉を、真に受けてほしくなくて。
傷ついてほしくなくて。
それらの言葉を、否定したかった。
「かっこいいと思うよ。だから、隠さなくっていいんだよ。堂々としてたらいいんだよ!」
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