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「小春さん。あなたの命を、刈り取りに来たんです」
だから飛び降りようとする私を止めなかったのか。
そこは合点がいって、私は「はぁ」と返事をした。
とはいえやっぱり、死神なんてにわかには信じられなくて、彼の頭からつま先までを、失礼とわかっていても眺めてしまう。
「ですが、見た所あなたは、充実した人生を送られなかったようですね」
「なっ…――」
確かに、そうだけど。
そうだけども…!
他人にそう言われると、失礼だなって思ってしまう。
自分でも、充実した人生じゃなかったのは、わかってるけど。
「…まぁ、はい。そうですね」
「人生が充実していなかった魂は、刈り取ってもほとんど意味がないのです」
「意味がない?」
いや、普通に返事をしてしまったけど、彼は死神の体で話が進んでいくんだな。
まぁいっか、どうせ私には関係ないし。
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