【01】 死神は鎌を持たない

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「小春さん。あなたの命を、刈り取りに来たんです」 だから飛び降りようとする私を止めなかったのか。 そこは合点がいって、私は「はぁ」と返事をした。 とはいえやっぱり、死神なんてにわかには信じられなくて、彼の頭からつま先までを、失礼とわかっていても眺めてしまう。 「ですが、見た所あなたは、充実した人生を送られなかったようですね」 「なっ…――」 確かに、そうだけど。 そうだけども…! 他人にそう言われると、失礼だなって思ってしまう。 自分でも、充実した人生じゃなかったのは、わかってるけど。 「…まぁ、はい。そうですね」 「人生が充実していなかった魂は、刈り取ってもほとんど意味がないのです」 「意味がない?」 いや、普通に返事をしてしまったけど、彼は死神の体で話が進んでいくんだな。 まぁいっか、どうせ私には関係ないし。
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