【01】 死神は鎌を持たない

5/7
前へ
/18ページ
次へ
「1つ目は、あなたが小学5年生の時です」 青い扉の上に、プロジェクターで映したみたいに映像が流れ出す。 そこには、家が貧乏でお風呂に入れてもらえなかったのがきっかけで、クラスメイトにいじめられている私が映っている。 「お母様もあなたも、苦労なさっていたのですね」 映像の中には、いじめがエスカレートして、物を隠されたり壊されたりして、お母さんを困らせている私がいる。 「2つ目は、あなたが中学3年生の時です」 今度は赤い扉が現れ、その上に映像が映し出される。 お母さんが再婚し、身だしなみを整えられるようになった私は、クラスに馴染んでいる。 しかし、今度はクラスメイトが、「顔が醜い」「服が汚い」と罵られている。 「確か彼、いじめを苦にして卒業前、首を吊ってしまったのでしたね」 親の再婚前、彼は私を助けようとしてくれていた。 でもそれが、彼のいじめの火種になってしまった。 彼は助けようとしてくれたのに、私は彼を助けようとしなかった。 またいじめられる日々に、戻りたくなかったから。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加