さみしさは酒でうめられない

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 それでも、あまい行為は砂糖を溶かしたようにあまい。  すぼまりが限界まで押しひらいて、ヌルッときばったものが滑り込んでしまう。肉壁をひろげていく感覚がこわくて、逞しい腕に爪を立ててしがみついた。貴宏はちいさくほほ笑むと、ぺろりと胸の突ったところに舌を這わせた。瞬間、絶頂に達して、ぴゅうっと飛び出てしまった。 「——……あああああああ!」 「かわいい。すきだよ」 「……ばかっ、あっ、あぁ、……あ、あ、あ、ゆらすなあぁ……っ、ひぃあ……」  うごきを速められ、がくんがくんと狂おしく、全身が波立つように跳ねあがってしまう。そのまま一気に根元までいれられて、熱い脈動に、もう一度達してしまう。 「傷つけないようにやさしくするね」  ペニスが肉壁をこすり、潤滑油のローションがぐちゅぐちゅとした淫猥な音がひびく。粘膜がひっぱられ、そのたびにゴツゴツと奥が穿たれた。スキン一枚でさえおしくなるほど、貴宏の熱に酔いしれてしまう。ほてった肌と肌が重なるたびにきもちいい。長大な剛直が、硬い楔のように深々と突き埋められてしまい、下腹部を突き上げてくる。 「あぅ……、だめ、だめ、奥まで…きてる」 「本当? ねぇ、その顔をよくみせてよ」 「あっ、あっ……、だめ、ぅん、……いい、きも、ちいい。ひぃん、いいっ……」  はしたなく乱れた声とあまく蕩けるこえ。 「うん、腰をもっと沈められる?」 「えっ……」  ずんと尻をわしづかまれて、腰がさらに下に落ちて目からまばゆい星が散った。 「あ、あ、あー、あーっ……」 「ここ、ひらいていくと気持ちいいらしいよ」  耳もとを咬まれて、甘い声がささやいた。胎のいちばん奥までとどいている。汗が額から、手のひらからじわりと浮かぶ。そこはだめだ。きちゃだめだ。雁の部分で、ゆっくり、そしてじっくりと押しひらかれると、すべてがどうでもよくなってしまう。もう、この男しか受け入れたくない。俺は、哀願するような視線を送った。 「…………あっ、あ、あ、やだ、やだ、んっ……」 「イッてるんだね。かわいい。僕のものみたい」  哀切な思いと涙があふれて、急に寂しくなり、キスを求めた。分厚い唇をついばむように吸っては舐めた。なんども昇りつめて弾ける。もう、自分がだれなのかわからなくなった。 「熱い……、熱い……んっんっ……。あ。あ、……」 「僕なしじゃイケなくなるまで、気持ちよくなってよ。ただしが僕なしに生きていけなくなるまで抱いてあげる」  ちゅっと瞼にうかぶ涙を吸われる。  そう、そんな男だ。そんな奴だった。好きだった。  そして、会うたびに、へとへとになるまで、抱きつぶされた。激しく射液を迸らせたくせに、あいつの息子は天井をすぐに向いていて、もう一回戦……。なんて、繰り返しているうちに、次の日どこにもいけなくて、アルファの性欲はやべぇなとしか思ってなかった能天気な自分を殴りたい。
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