第1章「竹富島へ」

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第1章「竹富島へ」

私は、竹富島へ行きたいなと思っている。そんな学校の帰り道であった。足元だけを見て、ただ、ぼんやりと歩いていると、急に、目の前が真っ暗になった。 (えっ) と思って立ち止まって顔をバッと上げた。そこには、竹富ブルーのアーケードがあった。そのアーケードは透明な所に竹富ブルーが登るように入れてあるのだ。そしてそのアーケードの中には透明な布の様な物が吊ってあってそこには、水色のお花が刺繍されている。私は、そこをくぐりたくなった。それで、私はくぐった。そこは、さっきと同じに光景だった。私は分かった。何枚も透明な布の様な物がつるしてあるのだ。私は、早くくぐり終えたくて走った。ここが嫌だったわけじゃ無い。ここをくぐり終えて着く、どこかに着きたいという気持ちがしたのだ。どんどんと、手をバッバッと、何回振り上げた事だろう。ダダダダダダダダッと、走っていたら、視界が真っ暗になった。 「ぅわっ」 と、私は叫んだ。同時に足場が無くなって、どこかに私は落下していく。その間、キュイーンと、ギターのなるような音がしつづけ、耳が少し痛くなった。 「キャッ」 時空がブワッとなるような感じがして、私は、ドサッと地面に落ちた。やっと。 「ん…」 と、私は、こわごわ目を開けながらゆうっくり起き上がると、そこは、真っ暗で、壁も床も、真っ暗なせいかもしれないけれど、1面黒い。おまけに、夢の中のように、足元がブワンブワンと歪んでいる感じで、沈んだりする。すると、真ん中にぼんやり、本当にぼんやりだけれど明かりがついていて、テーブルがあった。ランプは、オシャレなお店などで見る、三角形のもので、ぼんやりと明かりが灯っていた。テーブルの上には、ちんすこうがお皿に乗って、湯気のたつお茶が透けるポットの中に入っていて、カップも、お皿も、透けていて、そこには、さっきのアーケードのような竹富ブルーの色が所々にある。下には、椅子まで置いてあって、いかにも、 "待ってました" と、言わんばかりだ。何だか、私は、その椅子に座って、ちんすこうをもそもそ食べ、出来たてのお茶を飲みたいと、しきりに思った。決めました。私は、したいことを、きちんと正直にやる。言う。決める。今まで、私はクラスの中でも目立たず、面倒くさくてみんなにやりたいようにさせていた。でも、今、何かが、ほんの少しの何かが、私の心の歯車を、カタン、と、おした。その瞬間に、私の心は、 (きっと、何か大切なものが…) そう思った時には、もう、私はテーブルまで1歩踏み出していた。
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