幸せが怖い病気

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 二度目だった。  こんな風に類くんと手を繋いで歩くことは――。  初めての時もそうだったけど、バクバクと騒ぎだしてとんでもない高速で走り出す心臓。  男の子と付き合ったことすらないし、手なんか繋いだこともない。  酸素不足になってしまったように息を吸い込むのも浅く早く、手汗もかいちゃってる気がして恥ずかしいのに、この大きくてひんやりとする類くんの手を振り払うことは絶対にできない。  そんなことしたら、もう二度とつないでくれないんじゃないかって。  想像したら怖くなって、今の類くんの顔が見たくてそっと上を向いた。 「ん?」  私が見上げたことに気づいた類くんが、何食わぬ顔をしたまま、さっきよりも少し強めに手を握ってくれた。  ほんのちょっと類くんが変わった動きをするだけで、私だけがドギマギしちゃってる。  この繋いでくれた手だって、多分私が転ばないためだというのに。 「日菜ってさ、すぐ転んでるか、慌ててるか、落ち込んでるか」 「へ?」 「あとは笑ってるか、ふくれてるか、泣きそうになってるかのどれかな気がする」 「……食べてる時だって、あるよ」 「うん、昨日の昼、おにぎり落として泣きそうになってた」 「それも、見られてたの?」 「だって、どうしたって目に入るし、楽しいし、それに」 「それに?」 「危なっかしくて、」  そのあとに続く言葉を濁された。  気になって、足を止めて類くんを見上げたらフイっと目を反らされる。  気のせいかもしれないけれど、赤くなった類くんの首筋に心が弾みだして、私も少し強めに手を握り返す。
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