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ベッドの上でゴロゴロしながら、スマホを自撮り機能にしてみた。
写っているのは、私。
どんなにニッコリ笑ってみても、顔をしかめてみても小さい頃から見慣れている鼻が低くてタレ目な自分である。
『日菜は類くんの彼女になりたくないの? モタモタしてたら、他の子に取られちゃうかもよ? 類くんってモテるんだからね?」
そんなの、よくわかってるよ、梨乃ちゃん。
類くん、時々お昼休みなんかに他のクラスや上級生の女の子に呼び出されてるもんね。
見かける度に、『今日こそは、もしかしたら」って不安になって心臓をギュウウって握りつぶされちゃったじゃないかってぐらい苦しくなるのに。
戻ってきた類くんは、いつもと変わらずの笑顔で私に接してくれる。
類くんは、私のものなんかじゃないし、いつか誰かと付き合ってもおかしくないのは、わかってる。
そうなるのは嫌だけど、友達の線を飛び越える勇気を私は持っていない。
側にいるだけでいい、自信なんか何もない。
取柄もないしコンプレックスだらけ。
類くんが私の側にいてくれるだけで奇跡なんだから、これ以上望んじゃダメ。
でも、もしも私の鼻がもう少し高くて、目元もキリッとした美人なら……。
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