幸せが怖い病気

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「私は、お姉ちゃんの顔が好きだよ?」 「ねえ、(なぐさ)めてる?」 「違うって。なんだろう、(いや)し系? タヌキとかアライグマとか、見てて可愛いし」 「……、もう、いい」  そうだよね、やっぱりそうだよ。  多分、類くんも私のことペットとかそんな感じでかまってくれてるのかもしれない。  ふうと肩を落とした私の頭を、なあちゃんはよしよしと撫でてくれた。  どっちが姉なのかわからない状況だ。 「愛嬌(あいきょう)があって可愛くて癒してくれる顔、ってダメなの?」 「へ?」 「だって、お姉ちゃんの顔見ると、私なんだか安心するし、楽しいし。お姉ちゃんって、ちょっと間が抜けてて、愛されキャラだったでしょ? 中学の時も。でもそういうとこも含めて、放っておけない感じ、私は可愛いって思うし、大好きだよ?」  ぎゅっと私を抱きしめてくれるなあちゃんの温度に、心がポカポカしてくる。 「妹よ、なにが目当て?」 「ふふ、来週友達みんなで遊園地に行くの。お姉ちゃんのワンピース貸してくれる?」 「やっぱり! いいよ、もう、好きなの着てって。友達って、あれでしょ? 彼氏?」 「さあ、どうでしょ?」  ペロッと舌を出して「早く風呂入っちゃってね、ママがお湯冷めるって怒るから」と部屋を出ていくなあちゃんを見送って、スマホの自撮りを削除する。  イマイチ納得はしてないけど、まあ、いっかと思わせてくれる、なあちゃんの優しさに感謝した。
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