70人が本棚に入れています
本棚に追加
六月半ば、梅雨明け間近。
私にとって、とんでもない発表があった。
黒板にデカデカと書かれた文字に、クラクラと眩暈を覚える。
『一年生クラス対抗交流球技大会』
なんなん? それってなんなん!?
球技って、あの球技!? スポーツってこと!?
運動会なんて大嫌いだった。
どれくらい嫌いかというと、雨が降りますように、台風が来ますように、なんなら季節外れの雪でもいいのに! と一週間前から逆さテルテル坊主を吊るし祈ってたほど。
まあ、そんな私の呪いをあざ笑うように、毎年晴天の運動会は行われたわけだ。
わかる? 全員参加リレーの時に、『天野は何番目に走らせるか』という綿密な計画を、本人の目の前で練られるの、毎年、毎年!
なぜって、私の走る順番によって大きく順位が左右されるのだから。
で、負けたら、ちょっとね、じとっと睨まれちゃうわけ。
だよな、天野がいるし、って思われちゃうわけ。
つまり、クラスで一番足の遅い私は、皆にとって足手まといでしかなかった。
だから、いまだに運動は大の苦手、この高校に体育祭なる悪魔の催し物がないことに、心の奥で狂喜乱舞していたというのに。
これは悪夢なんじゃないかな?
目を閉じてゆっくり開けたらあの文字は消えていないだろうか?
最初のコメントを投稿しよう!