不安しかない症候群

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『一年生クラス対抗交流球技大会』  ゆっくりと目を開けた。  ダメだ、全く消えてなかった……。  これはもう現実らしい。  例年にはなかったはずのこの交流会は、今年から始まった行事だとか……、運が悪すぎる。  一学年六クラス。  三種目それぞれリーグ戦式で、勝敗を決める。  各クラス三十八人ほどが、それぞれ三つの種目に振り分けられる。  一つは男子サッカー、サッカー部所属じゃない男子だけで構成されたチーム。  女子はソフトボール、やはり部員以外で構成。  そして、どちらにも属さなかった男女混合で構成されるドッジボールなる競技……。  ドッジボールという響きだけで、背筋がゾワゾワする。  私にとっては、悪夢しか思い出せない競技なのだ。  体育館に悲鳴が上がったのは小学校六年生の時だった。  顔面でドッジボールをまともに受けた私は大量の鼻血を噴き出した。  女子は悲鳴をあげて泣き出すし、男子も相当引いていた。  無理だ、ドッジボールだけは絶対に……。 「では次にソフトボールに出たい女子、手をあげてください」 「ハイッ!」  迷うことなく天に向かって真っすぐに手を挙げた。  全員が驚いたように私の方を振り向いて、梨乃ちゃんも、類くんも目を丸くしていたから恥ずかしくなった。
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