不安しかない症候群

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 大会まであと三日、梅雨明けから一気に夏めいた空の色は群青。  白く大きな綿菓子みたいな入道雲が遠くに浮かんでいた。  グラウンドでキャッチボールの練習をするクラスメイトたちの輪を離れて。 「なーに、やってんの?」 「うわっ、ビックリした」  体育館の裏で隠れてコッソリ、素振りしていたのを類くんに見つかってしまった。 「素振りの、自主練」 「ふーん、振ってみて?」 「え?」 「小学生の時、俺野球やってたんだ。バッティングフォーム、ちょっとなら教えられるよ」 「い、いやいや、だって! 類くんもサッカー練習中でしょ? いいよ、大丈夫、一人で頑張れるし」 「日菜が一人で? 本当に? 大丈夫?」  からかうように笑う類くんに頬を膨らました。 「見ても笑わないでくれる?」 「笑わないって」 「もう笑ってる!」 「だって、既に面白い気がしてきて」  肩を揺らして笑いを堪えていた類くんが頬をパンパンっと叩いて引き締める。 「悪い、真剣に教えるから何回か素振りしてみて? チームの足、引っ張りたくなくて頑張ってでしょ?」 「ん……」  補欠のままでいればいいやって思ってた。  だけど先生が言うには全員参加、例え補欠でも一度は代打でバッターボックスに立てと。
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