不安しかない症候群

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「あとで、動画送るよ。確かわかりやすいサイトあったから。それ見てフォーム練習してみて?」 「うん」  顔を見ることもできずに、足のつま先ばかりモジモジ見ている様子に類くんもしばし何も言わないままでいたけれど。  きっと気を使わせちゃったんだと思う。 「ごめん、俺さっきめっちゃ汗かいたし臭かったかも」 「臭くないよ!」  違う、とブンブン首を横に振って、唇をギュッと噛んだ。 「だって日菜、すっごい迷惑そうな顔してるし」 「してないっ! 違うの! だって、近くって……、類くんが」  私、一人があんなに近い距離でドキドキしちゃったことを自爆したみたいで恥ずかしくて。  とっさに(きびす)を返し逃げようとして、腕を掴まれた。 「それって、俺のこと意識してくれたり?」  回り込んで下から私を覗き込む類くんは、ニヤリとからかうように笑ってる。 「知らない」  泣きそうになった私を見て、優しく目を細めた類くんに、グリグリっと頭を撫でられた。 「女子って練習何時までだっけ?」 「そろそろ、終わる……」 「んじゃ、俺も着替えてくるから一緒に帰ろ。日菜を泣かせた罰としてアイス奢っちゃるし」 「苺がいい」 「はいはい、苺だけでいい? まだのせてもいいよ」 「バニラとチョコも」 「おお、三段か、欲張り」  じゃ、また後で、と走ってく類くんに手を振る。  見えなくなってから大きなため息をついて、しゃがみ込んだ。  背中が、まだアツイ……。
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