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「なに見て笑ってんの? 日菜ってば」
その声に気づき慌てて机の中にスマホを隠す。
前の席に腰かけた梨乃ちゃんが後ろ向きに座って私を振り返っていた。
「なんでもないよ」
プルプルと首を振ると、梨乃ちゃんはニヤリと嫌な笑い方をした。
これはもう絶対くるぞ、そう思ったから。
「んぐぐ、んー!!」
私に口を塞がれた梨乃ちゃんが、頬っぺたを膨らませて睨み、抗議をしている。
「だって、梨乃ちゃん、すぐからかうんだもん」
ようやく梨乃ちゃんの口から手を退けて、今度は私が頬を膨らませた。
「からかってないよう?」
そんなことを言ってもやっぱり顔はニヤニヤしているし、まるで赤子をなだめるように私の頭を撫でる梨乃ちゃんに、ふくれ面のまま鼻息をフンッと鳴らした。
「どうせ、アレでしょ? 類くんの写真、眺めてたんでしょ?」
「もうっ!」
人に聞かれては困ると、シイッと人差指を立てた私にテヘヘと笑ってからゴメンと謝る。
まあ、そうなんだけど。その通りなんだけどね?
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