幸せが怖い病気

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 チラリと廊下側の席の類くんを盗み見たら、男子たちとふざけて笑い合っていた。  その様子をしばし眺めていたら、気づかれてしまった。  目が合った瞬間、類くんは口角をあげ微笑んでくれたから、私も小さく笑い返して二人ともそっと目を反らす。 「ほらね、また二人の世界~! いいなあ、同じクラスに好きな人いるの。羨ましい」  本当に違うのに、違ってていいのに。  だって、これはまだ私の一方的な片想いだと、そう思ってる。  そう思ってなきゃ、うぬぼれてしまいそうになるんだもん。  さっきみたいに目があって、微笑んでくれた瞬間とか。  帰り道、私を待っててくれたみたいに昇降口で会って、駅まで一緒に歩いたりとか。  もしかして? って思ったら、好きがいっぱい溢れて止まらなくなっちゃって。  なのに、類くんが私のことは友達としか見てなかったら?  立ち直れないでしょ、絶対。  だから、この距離のままがいい。  毎日ドキドキしてるもん。  片想いだって立派な恋だ!  ドキドキしてキュンと時々胸が痛むのだって、甘酸っぱさにリズムの悪いスキップを踏みたくなるのも、好きな人がいてこそ。  だけど――。  もしそれが終わってしまう日がきたら……、そう、あの時みたいに。  一気に広がった憂鬱で灰色の想いを、慌てて追いやるように頭を振った。
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